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ロシアのHybrid warfareの限界

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Dobry vecer!

エリシュカです。


ちょっと、というかかなり日にちが開いてしまいました(汗)

管理人がノロに感染しその間溜まった仕事の処理をやっていたので今日の日付になったのもありますが、

件のロシアの経済情勢、私はこの方面に強くないのでどの方向に行くのか、経済面でどこに影響が出るのか、このあたりの見極めに時間がかかっていたこともあります。

このブログでは東欧北部方面における地政戦略的作用・反作用について書いているためこれについて一定の見極めができている必要があります。


今回は、現時点でのロシアのHybrid warfareについての評価を行いたいと思います。

Hybrid warfareについては前のブログで何度も触れましたし、その問題点についても書きましたのでそれと若干重複する部分もあります。


この評価はそれほど難しいものではありません。

成功した地域と失敗した地域が歴然と並んでいるのでそれらを比較検討すればよいのです。

前者がクリミア、後者がウクライナ東部です。


クリミアではなぜ成功したのか。

クリミアは一度奪取され防備が強化されると奪還しにくい地形であり、不意のことゆえ急な対応ができなかったことを差し置いてもウクライナ政府による奪還は困難であると思われます。

そうした閉鎖的な地理的環境に加え、クリミアは自治共和国というそれ自体一つの統治機構を持っていた。これをすみやかに奪取することでクリミア全体を手中にすることが可能になりました。

現地の露系とセヴァストポリという「橋頭堡」の存在もありました。


ウクライナ東部はどうか。

すでにクリミアで戦争が行われウクライナそして西側がすでに警戒していた状態だったとはいえ「共和国」設立宣言までは行くことができました。

しかしウクライナ東部は地形的に無防備でありウクライナ政府側が「対テロ作戦」(ATO)を行うに及び交戦状態に陥りました。

この地理的な閉鎖性の無さは、現地に親露派が存在して地方自治体としての統治機構があっても地域全体を掌握することができないという結果をもたらしました。


ここにおいて本質的な問題が出てきてしまっています。

戦争状態ではないと言い張りつつ速やかに入り込んで地域を奪取するという戦争方法をとっている以上、正規軍による大規模侵攻ができないため、こそこそ兵力の逐次投入をすることしかできなくなっているのです。

そのため、この戦争は局所的にはロシアとウクライナとの戦争ですが、ウクライナの背後に西側が控えている状況では、ロシア側のほうが不利な消耗戦に引きずりこまれている、という印象です。


さて、このHybrid warfareの今後についてはどうでしょうか。

クリミアが成功したのは侵攻が奇襲として成立すること、現地にあらかじめ「橋頭堡」となる集団がいることです。

現在欧州方面で、ロシアと国境が接していてロシア系住民のいるエストニア、ラトヴィアはNATOがもっとも警戒する地域となっており、奇襲ができない状況となっています。

これは、欧州方面だけでの話ではありません。Hybrid warfareは近隣諸国を極度に警戒させてしまう戦争方法であるため、他の地域での近隣諸国に対しても奇襲が成り立つかは疑問です。

こうしたことを考えれば、結局このHybrid warfareは、あとに正規軍の大規模侵攻が続かない限り、対象地域に紛争をおこしそこを恒常的不安定地域にする以上のことは、クリミアのように好条件が整っていない限り不可能です。

結局、これはウクライナにおける戦争を容易なものにするための戦略的な助攻として行うか、グルジアやモルドヴァでやったように影響力を維持するために行うものとなるでしょう。

しかし後者は、その後も西側が両国をいじり続けている現状を見れば効果があるとは思えません。結局、この両国がNATOの軍事拠点にならないようにするという防勢的地政戦略に供するだけです。


ロシアの今後を読むにはまだ難しいものがあります。

ただ、気になるのがロシアが米の原爆投下を人道に対する罪として云々を言い出していることです。

ロシアは冷戦後の世界秩序、その土台になっている第二次大戦後の世界秩序の変更を意図しているのかもしれません。

ただ第二次大戦の処理は勝てば官軍方式でありソ連も戦勝国の一員であった以上、これを覆すことは自分の足元を掘り崩す危険性があるかもしれません。


今日はこんなところでしょうか。

それでは、Na shledanou!

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Ambiguous warfareの反作用:ロシアの人道援助に対する警戒の例

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Доброго вечора!

教祖です。


今回のロシアによる人道援助の件に対するウクライナその他の周辺諸国の反応から、露のいわゆるambiguous warfareの問題点のひとつについて書いてみたいと思います。

この点は、すでに前のエントリで指摘した問題点の一つです。

早速形になって現れてきたようです。


12日、ロシアの人道援助隊がウクライナに向かっているというニュースに対し、ウクライナ人や西側諸国から疑惑の目が向けられました。

僕はtwitterで彼らのツイートを見ていたのですが、概ね「トロイの木馬」という意見でした。


ロシアのトレーラーの積荷についてかなり疑惑がもたれていました。

例えばこのツイートでは、他のユーザーに対し白布で覆われている中身について写真から解明してくれるよう要請。
https://twitter.com/lennutrajektoor/status/499243886876061696

このツイートはロシアの援助隊のルートを推測しているもの。もはや侵攻軍あつかいです。
https://twitter.com/djp3tros/status/499231161554853888

twitterでは、#ГуманитарныйКонвой  (人道援助コンボイ)のタグをつけ援助隊の動きについて論じるアカウントが多数に上りました。

政府関係者のツイートとしては、このリトアニアのリンケヴィチウス外相のもの。

「ロシアのウクライナ東部への侵攻の高い可能性。ウクライナ政府の受け入れなしの全ての人道援助は侵攻を意味するものでしかない」
https://twitter.com/LinkeviciusL/status/498879295746736128

このように激しいものです。


これは、ambiguous warfare、一言で言えば非対称戦を国家による戦争の手段として用いた場合、それは隣国の社会の上から下までを高い警戒態勢においてしまうため、隣国のロシアに対するガードが必要以上に上がってしまうのです。

ambiguous warfareは詭道の最たるものです。詭道の「詭」の度合いと隣国の警戒心は正比例します。

結局それが自分自身の外交政策に対する縛りとして跳ね返ってくるのです。


さらに、今回は別の危険もあります。

ロシアは戦争の大義名分を国外ロシア人の保護としています。

そして国外ロシア人に対しプロパガンダを行い侵攻のためのツールの一つにしています。

ロシア系マイノリティーをかかえ、ロシアによるambiguous warfareに怯えるエストニアやラトヴィアでは、主要民族によるロシア系マイノリティーに対する警戒が今後高まることが予想されます。

実際にクリミア侵攻の事態が動いている中、ラトヴィア在住のロシア系住民が、ロシアにラトヴィアの併合を求めるネット署名を行っています。

こうした流れにより国外のロシア系住民の立場が今後危険になるような場合、プーチン政権は彼らと国内から行動を起こすことを迫られる事態になるかも知れません。

プーチンの支持率はかなり高いところで維持されていますが、それはプーチンの今後の政策に対する縛りともなるのです。


ちなみに、ラトヴィアの無国籍ロシア人についてはのちに改めて触れますが、

ラトヴィアには別にラトヴィア人とロシア人との間に亀裂を生じさせていることがあります。

それは、第二次大戦中独軍に徴兵され戦死したラトヴィア人兵士の扱いです。

ラトヴィア人側は慰霊・記念する立場ですが、ロシア人は彼らを「ファシスト」と呼び真っ向から反対しています。

毎年3月16日このラトヴィア人のための記念式典があるのですが、この日はクリミアのロシアへの編入を求める住民投票当日であったため、それと同期してデモを計画していたロシア人との衝突を回避したい政府は政府要人に記念式典への参加を禁止していましたが、

この式典に毎年参加していたツィリンスキス環境保護地域開発相が政府の制止を振り切って今年も式典に参加し、罷免されています。


こうした対立は、ロシアが行ったambiguous warfareの副作用として今後悪化する可能性があります。


さて、今日はこんなところでしょうか。

ちなみに、僕の生みの親である八幡先生のコミケのお品書きができましたので、リンク貼っておきます。
https://twitter.com/yahataa/status/499547319121879046

どうぞよろしくです!


それでは、До побачення!

ロシアの新しい戦争「ambiguous warfare」

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Доброго вечора!

教祖です。


一つ前のエントリで書いた、英国下院、防衛委員会の報告書の原文が入手できましたので、それについて前回よりもより突っ込んだことを書いてみます。

まず、本文です。

House of Commons Defence Committee Towards the next
Defence and Security Review: Part Two—NATO

http://www.publications.parliament.uk/pa/cm201415/cmselect/cmdfence/358/358.pdf

ロシアの新しい戦争について、この文章では「ambiguous warfare」という用語を用いており、今後も使用されると思われます。

この報告書ではロシアが今までに行ったambiguous warfareにおいて行われた5つのタイプの戦争を挙げています。

1.cyber attack
2. information operation
3. psychological operation
4. economic attack
5. proxy attack

この中で説明する必要のあるのは4.と5.でしょうか。経済的攻撃、つまり経済制裁はロシアがグルジアやモルドヴァなどに行っていることで、これは西側も頻繁にしていることであり、ambiguous warfareの手段の一つとしてカウントする事をつい忘れてしまいがちです。

5.は公にはロシア政府と関係がないといわれる武装勢力・テロ組織などによる攻撃で、ウクライナでのいわゆる「グリーンマン」を念頭に置いたものです。

報告書では、ロシアのこうした「新しい戦争」は今年のウクライナが初めてではなく、2007年のエストニアへのサイバー攻撃、2008年のグルジアへの攻撃も含まれるとしています。

ちなみにこの2007年のエストニアへのサイバー攻撃について、僕は当時バルトを見ていなかったのでリアルタイムで知らなかったのですが、当時エストニアにおいて第二次大戦時のソ連兵士慰霊碑撤去に関係した、ロシアからと思われる大規模なサイバー攻撃を指すようです。


ちなみに、ロシアのこの新しい戦争について以前からいくつかの文献が提示されていたと書かれており、その中に前のエントリで紹介したMark Galeottiの「ゲラシモフ・ドクトリン」があげられています。


この報告書では、現在のNATOの東欧北部における通常戦力の欠陥についても指摘しつつ、それと平行してこのambiguous warefreに対するNATOの準備の無さを指摘しそれについての提言を行っています。

しかし、この報告書で提示されている提言はまだまだ頼りないものです。

とにかくロシアの動きを監視し・正確に分析し未然に食い止めること以外具体的なものは書かれていません。

これについては今年9月に英国で開かれるNATOのウェールズサミットにおいて具体的なことが討議されドクトリンとしてまとめられることが予想されていますので、このあたりはまだ仕方がないかなと思います。


しかし、僕が虚をつかれたと思ったのは、NATO憲章とも言えるワシントン条約の、加盟国の集団防衛義務を定める第5条についての懸念です。

実のところ、僕は例えばバルト三国がクリミアやウクライナ東部のようなambiguous warefareを仕掛けられた場合、NATOは即座に5条対応をすると思いこんでいました。

しかし、武力によらず、またロシア本国があれはうちとは関係がないと白を切った場合、NATOとしては5条を発動することが困難になるのです。

この点についてこの提言では、5条対応の基本的解釈を変更し、武力によらないambiguous warfare(たとえばサイバーアタックレベルでも)をしかけられたばあいでも5条を発動できるようにすべきだとしています。


それにしても、この提言のバルト三国への過度の集中ぶりにはちと懸念が生じます。

確かにロシア系住民をかかえ住民同士の宥和がなっていないエストニア、ラトヴィアではロシア系に対するロシア政府の扇動工作が懸念されえますし、リトアニアもロシア本国とカリーニングラードとを結ぶ回廊の上にあり、ロシアの脅威をもっとも受けやすい位置にあります。

このラトヴィア、エストニアにおけるロシア系住民の問題については、後に詳しくエントリで説明します。

しかし、それ以外にも脅威を懸念すべき場所があることは、僕が書いた一つ前のエントリで指摘した通りです。


ともあれ、本文中にあるようにウェールズサミットで具体的なドクトリン作成に入るようですが、ambiguous warfareへの対処について、事前に阻止することだけでなく、実際に「攻撃」がなされた場合における対応についても検討してもらいたいものです。

情報戦・心理戦は社会全体のレベルでの準備・対応が必要となります。これは平時においてもバルト三国など攻撃の対象となる懸念のある「前線」の諸国の社会に極度の重圧を強いるものになるかもしれません。

その上、例えば、クリミアやウクライナ東部へ侵攻してきた「グリーンマン」の撃退には成功したとします。

しかし、ロシア政府が扇動し戦闘に参加したロシア系住民は事実上現地のネイティヴであり、ロシア本国に難民として流入するのでなければその国にとどまることになります。

その場合NATOはどうするのか。戦後「戦犯」を追及する段階になり、ロシア系住民が抵抗を試みたらどう対応するのか。

そもそも戦争中は彼らの一部は武装してロシア軍に合流する可能性が高く、その場合他の戦闘に参加していないロシア系とどう区別するのか。彼らは戦闘には参加していなくても何らかの形でロシア軍を支援する可能性も高いです。


ロシアがバルト三国などで今後ambiguous warfareを行った場合、なんとかしてNATOが戦争の決をつけえたとしても、戦後の住民相互の感情は最悪となり、その後長期にわたり民族紛争の巣となる可能性もあります。


はぁ、しかし、やっかいなことを始めてくれたものです。

ロシア軍とベラルーシ軍合同の大規模演習Zapad2013が去年行われましたが、これは通常戦力のみであり、これはambiguous warfareを今後行うための偽装ではなかったのかな、と思うのは、うがち過ぎでしょうか。

もしそうであれば、NATOがその後東欧北部、バルト地域で行ったやはり通常戦力による大規模演習であるSteadfast Jazzが道化のように思えてきますね。


今回はこんなところでしょうか。

До побачення!

NATOの今後の防衛戦略

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Доброго вечора!

教祖です。


今回はブリードラブNATO軍司令官(SACEUR)によるNATOの今後の防衛戦略の提案についてです。

記事はこれ。

http://www.stripes.com/news/breedlove-nato-must-redefine-responses-to-unconventional-threats-1.296129#.U94RfnGH8T8.twitter

ブリードラブが想定するロシアの新戦略は以前投稿した「ゲラシモフ・ドクトリン」で、すでにクリミア、ウクライナ東部で行われたものであり、今更という気もしないわけではありません。

論文の前半はロシアのこうした新戦略により加盟国の領土保全を謳うワシントン条約第4条が新しい形で侵される危険が高まったというもの。

論文の後半は、英国議会防衛委員会の報告書についての言及です。

これはこちらの記事にも詳しく述べられています。
http://www.globalresearch.ca/uk-parliamentary-defense-committee-demands-nato-prepare-for-confrontation-with-russia/5394551

この報告書における提言は、

1.NATO緊急対応部隊の劇的な改良
2.バルト三国における前方展開
3.バルト三国におけるNATO軍の継続的駐留と訓練・演習
4.NATO加盟国全てが参加する大規模演習

バルト三国はすべてNATO加盟国であること、エストニアとラトヴィアはロシアと直接国境を接し、先日解決したとはいえ領土確定問題が存在したこと、また国内にロシア系住民を抱えること、そして実際にバルト地域においてロシア・NATO両軍による活発な示威的軍事活動が行われている事を考えれば、この報告書がバルト三国重視であることは理解できます。

しかし疑問も残ります。

報告書が想定するのはあくまでもロシアが非対称的手段で侵攻してくることであり、現地のロシア系住民がそれに呼応して軍事行動に参加するような場合どうするのか、それにどう備えるのか。

また、例えばラトヴィアでは第二次大戦時に独軍に徴兵されたラトヴィア人兵士の慰霊碑を巡って、彼らをファシスト協力者として慰霊に反対するロシア系とラトヴィア人との間に対立がある。これが衝突にまで発展するかははっきりしたことは言えませんが、先の例において、ロシア系住民が侵攻してくるロシア軍に呼応した場合ラトヴィア・エストニアの主要民族との衝突が起きた場合対応できる能力を緊急対応部隊あるいはその支援部隊に持たせるのか。

こうしたことは平時から両民族の関係調整を行う必要がありますが、そこまで考えているのか、という点です。


さらに、バルトのみに集中することで果たして良いのか。

前のエントリで書いたようにルーマニアとその周辺も安定しているとは言えないですし、またバルカン半島はNATOの柔らかい横腹であり続けている。

ロシアの親セルビア政策については、別のブログにエントリを書きました。

http://crnogorac.blog117.fc2.com/blog-entry-109.html

今後不安定化が広範囲にわたるようになれば、バルト三国のみだけに集中していられる事態ではなくなると思われます。


今日はこんなところでしょうか。

До побачення!

ゲラシモフ・ドクトリン

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Доброго вечора!

教祖です!

開始しておきながらご無沙汰して申し訳ありませんでした!

やっと時間が取れるようになったので、再開していきます。


今回は、ツイッター上でMark Galeottiがツイートした内容について。

The 'Gerasimov Doctrine' + Russian Non-Linear War
https://twitter.com/MarkGaleotti/status/485816982798090241

http://inmoscowsshadows.wordpress.com/2014/07/06/the-gerasimov-doctrine-and-russian-non-linear-war/

ロシアのゲラシモフ参謀総長が2013年2月27日に発表された論文集に投稿したものについてです。

このアイデア自体は新しいものではありません。

「The role of nonmilitary means of achieving political and strategic goals has grown, and, in many cases, they have exceeded the power of force of weapons in their effectiveness.」 

「The open use of forces — often under the guise of peacekeeping and crisis regulation — is resorted to only at a certain stage, primarily for the achievement of final success in the conflict.」 

「the use of special-operations forces and internal opposition to create a permanently operating front through the entire territory of the enemy state, as well as informational actions」

「The differences between strategic, operational, and tactical levels, as well as between offensive and defensive operations, are being erased」

戦争のやり方として非対称戦を選択し前面に持ってきたというもので、読んでいると懐かしいものを感じました。

しかしこれは、ロシアの今後の戦争のやり方を読む解く上で、非常に重要だと思われます。

実際にこれは今年に入ってクリミアとウクライナ東部で為されたことです。

Mark Galeotti氏はロシアの新しい地政戦略を「ゲリラ地政学」と呼んでいますが、こうした「戦争」を「備えが緩いところを狙って」しかけてくるとなったら周辺国にとってかなり厄介な事態となります。


しかし、これはロシアにとって得策なのでしょうか?

そもそもこうした非対称型の戦争は、攻勢の手段として用いて成功するには条件が整う必要があると思われます。

単純に、クリミアとウクライナ東部の現在の状況を見るとわかりやすいと思います。

ゲラシモフが言う「特殊作戦部隊と現地の反対勢力を使用」して対象地域を乗っ取るには、クリミアのように政府軍の反撃の可能性が無いかかなり遅く行われると確信できる、また反攻が開始されても地形的に攻略が困難である、戦争開始前より中央政府との関係が弱く早期に政体を乗っ取れる可能性があるなどの条件が満たされている必要がある。

これの反対事例がウクライナ東部だと思われます。

さらに、ウクライナ東部の事例は侵攻側が早期に事態を収拾できない場合、長期にわたり対象地域が不安定化する恐れが大だということです。

ゲラシモフはこうした非対称戦の事例としてアラブの春を上げていますが、今の彼の地の現状をどう考えるのでしょうか。

さらに、確かにこうした戦争を仕掛けられたら厄介ですが、この場合相手国の社会の上から下まで警戒状態に置くことを強制するものです。

通常戦争の脅威を与える場合よりもはるかに強い反感を国境の外に蔓延させることになります。

平時にこうした脅威を周囲に振りまくことは対外関係に強烈な負の影響を与えるものと思われます。


見方を変えて、これは単にウクライナ国内を不安定化させ、西側の影響力がウクライナに及んだとしても、例えばNATOの重要拠点をウクライナ内に作るなどの計画があったとしても不可能にしてしまうことを目論んだと仮定してみましょう。

しかしこれは、露・ウクライナではなく露・西側というレベルで見ることが必要となってきます。

ウクライナ国内の不安定化には成功したとしても、露・西側というレベルで見た場合西側にとってこの問題はNATO・EUの壁の外のことです。

しかし露は当事者としてウクライナの件に資源を投じていかねばならなくなったとすると足を取られているのはどちらでしょう。

NATOはウクライナ防衛の義務は当然ないし、グルジア・ウクライナいじりをNATOもEUも続行しつつ露を侵略者として悪者呼ばわりしていればいいのだし、

今のところ戦争のパターンを支配してると思われるのは現状維持をしているだけでいい西側なのではないでしょうか。

西側はNATOの東側の壁を守りつつ、その外のモルドヴァ・ウクライナ・グルジアいじりを続ける従来の政策を変更していません。

露がこれを阻止できていないのなら、なんのためにあれだけ激しいリアクションをしたのかということになってしまいます。


今日はこんなところでしょうか。

До побачення!
プロフィール

belaoluja

Author:belaoluja
こちらは南東欧戦略環境分析局blog http://crnogorac.blog117.fc2.com/ から萌え要素を抜いたものになります。

文責は同じ @crnaoluja (twitter) です。

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