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ポーランドのバルト・黒海・アドリア同盟構想と南東欧

4月18日にポーランドのドゥダ大統領がブルガリアを公式訪問しました。これについてこの記事をもとにポーランドの地政戦略が南東欧に及ぼす影響について書いてみたいと思います。

http://neweasterneurope.eu/articles-and-commentary/1976-warsaw-pivots-to-the-black-sea

この記事によれば、ポーランドのドゥダ新政権の目指すバルト・黒海同盟構想以前からポーランドとブルガリアは防衛協力と経済関係が強化されていました(もちろん経済関係強化は安全保障面での要請からのみではないでしょうが)。

ポーランドのこの構想については以前のエントリで書きました。
http://crnogorac.blog117.fc2.com/blog-entry-144.html

またポーランドが安全保障面で南で最も重要視するトルコへの地政学的ルート上にあることからもブルガリアとの関係を重視しているとしています。

去年ブルガリアがMig29のメンテをポーランドで行うことに変更した件は単なるNATO圏の対露依存からの脱却だけではなく、二国間関係のこうした面も反映していると。

この構想には別の方向からのアプローチがあります。

ウクライナのポロシェンコ大統領は、ウクライナ、ルーマニアとブルガリアとで統合旅団を作る構想を表明しています。すでにポーランド・リトアニア・ウクライナで作った統合旅団がありますが、これをモデルにするとの方針です。

こうしたことの積み重ねでバルト・黒海同盟が形成されて行くかもしれません。

ウクライナとポーランドからアプローチを受けてブルガリアは東欧の安全保障システムの東方正面に組み込まれる過程にある観があります。ブルガリアというとマケドニア問題でバルカン南部内陸部での政策のほうに目が行きがちですが、ウクライナ戦争は始まって以降はNATOの黒海方面での展開と相まって上記の傾向が続いています。

ただ、ドゥダ政権のこの構想にはバルト・黒海に加え「アドリア」も入っていますがこれにはバルカン内陸部のセルビア・ボスニアのスルプスカ共和国・ギリシアは入らないでしょう。これらは親露傾向があり、EUでもNATOでもないバルト・黒海同盟に対して対露関係を悪化させてまで参加したがるとは思えません。当然露からの分断工作もあるでしょう。またギリシアはトルコと、セルビアはクロアチアとの悪関係があります。この構想を強力に推し進めた場合バルカン諸国間に亀裂が入る可能性が生じてくる危険性があります。

ただ、ポーランドがこの「同盟」を形成するだけの影響力を発揮できるかについては当然疑問符がつきます。これは米国がバックにいることが条件となるでしょう。さらにポーランドへのアクセスを容易にするために北欧(特にスウェーデン)もここに加える必要がありそうです。

しかし、NATO・EUもウクライナや南コーカサスをいじりこそすれどうにもできないのにこの「同盟」がどうにかできるとも思えません。

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東欧の準軍事組織

今回は東欧・バルトの準軍事組織について。

これは今年一月18日付の記事ですが、ハンガリー以北の東欧とバルト三国の準軍事組織について解説しています。
http://neweasterneurope.eu/articles-and-commentary/1862-the-rise-of-paramilitary-groups-in-central-and-eastern-europe

記事では大まかにポーランド・バルト三国とハンガリー・チェコ・スロバキアで準軍事組織の性格に違いがあるとしています。

大まかに、前者は正規軍に協調的、後者は右寄りの独自のポリシーにより反政府的な性格を持つとしています。

まず、ハンガリーの準軍事組織「Magyar Nemzeti Arcvonal (ハンガリー国民戦線)」。

このサイトの写真と動画で武装の度合いが見られます。
http://nemzetiarcvonal.net/2015/04/08/a-magyar-nemzeti-arcvonal-folytatja-a-harcot/



そして、スロバキア当局の監視対象の準軍事組織「スロバキアの徴集兵(Slovenskí branci )」。

この去年の記事では学校で子供たちに銃器の扱いの訓練を行ったという事件について報じられています。
http://spectator.sme.sk/c/20058688/extremist-group-slovak-levies-trained-kids-in-schools.html

これらは概ね右派、反EU、反NATO、反移民。露からの援助について疑う向きもあります。


そして、ポーランドの準軍事組織。

記事では120の軍事組織が正規軍に協調的であるとしています。

しかしポーランドの準軍事組織全てがそうであるかは調べが必要であると思っています。

以前この記事で書いたように、ウクライナの民族主義の牙城である西部の独立運動の相手はポーランドでした。
http://belaoluja.blog.fc2.com/blog-entry-10.html

第二次大戦中ウクライナ蜂起軍(UPA)により東ガリツィア、ヴォルイニ地方でポーランド人の大量虐殺が行われました。
https://en.wikipedia.org/wiki/Massacres_of_Poles_in_Volhynia_and_Eastern_Galicia#German_involvement


そしてウクライナのザカルパッチャ州はスロバキアも関係してきます。

今後も注意深い観察が必要になるでしょう。

ウクライナ・右派セクターと当局の衝突

sabun.jpg

Dobry vecer!

エリシュカです。


まず、最初にお伝えしなければならないことは、この件は非常にわかりにくく、ウクライナのニュースサイトですら原因を「不明瞭」と言っていることです。

解釈にも違いがあり、特にウクライナ国内での右派セクター支持派と非支持派(今回の件で失望した層も含む)ではだいぶ異なったものになっています。

正直今書いていいものかどうか躊躇があったのですが、とりあえず現時点でわかっていることをまとめてみたいと思います。

ただ情報の詳細については現時点で誤報の可能性もあることを考慮して、簡単な事実のみを書きます。


7月11日、ウクライナ西部のザカルパッチャ州のムカチェヴェで、ウクライナ極右政党・準軍事組織の右派セクターの武装集団が地元のスポーツセンターを火器で襲撃し死傷者が出るという事件がありました。

そして現地の警察との武力衝突に至ります。

ウクライナ内務省はこの右派セクターの武装集団に武装解除と降伏を要求しますが、右派セクター側は応じず逆に現地の治安当局の長の逮捕やアワコフ内相の辞任を要求し、ウクライナ各地でのデモとキエフと西部をつなぐ道路に検問所を置くなどの措置を行っています。

現地右派セクター集団側は人質を取ったという報道がありますが、すでに解放された、右派セクター側は否定しているなどこの点も不明瞭です。


今回の件で、右派セクター側の主張は、現地自治体の腐敗を糾弾するために行ったというものです。

そもそも先に発砲してきたのは相手側だと主張しています。

腐敗とは、タバコなどの密輸品の売買。

このザカルパッチャ州は、ウクライナの南西部に位置し、周囲をスロバキア、ハンガリー、ルーマニアに囲まれています。
westukr.png

また人身売買など、貧困国の地政学的クロスロードにある地域がなりがちな密輸犯罪の重要地点になっている地方です。

ウクライナ国内の腐敗は酷いものがありまして、今回右派セクター側の主張を無下に退けることは、事態が解明されるまで控えておいた方がいいかとも思われます。

ただ、右派セクターは政府からの資金で国防などの活動を行っている状況で、現地の腐敗した右派セクター集団が同じようなことをやっていて、密貿易の利益から地元当局と対立したという可能性も捨てきれないのです。


上の地図でもお分かりになるように、ザカルパッチャ州はパイプラインが多数通っている地政学的に重要な地域です。

スロバキアからウクライナへの還流パイプラインもここを通っています。

また、ここは第二次大戦後に後付でソ連邦ウクライナ共和国に加えられた地域であるためキエフとの関係が疎遠であることも考慮しなければなりません。

ここのハンガリー系とルシン人については以前のエントリで書きました。
http://belaoluja.blog.fc2.com/blog-entry-22.html


ともあれ、いまのところ事態が進行中ですしまた情報の見極めも難しいので、今後もよく観察し、新たな情報・分析について暫時書いていきたいと思います。


今日はこんなところでしょうか。

それでは、Dobrou noc! Na shledanou!





バルト三国に対するHybrid Warfareの可能性

sabun.jpg

Dobry vecer!

エリシュカです。

2月から理論面を強化するために理論書と格闘していたのに加えてここ最近バルカンのほうが慌ただしくなってきたのでそちらに主に取り組んでいました。

バルカン方面の情勢についてはこちらで書いています。 http://crnogorac.blog117.fc2.com/


さて…

先日、トルコのアンタルヤで開かれているNATO外相会議においてNATOのストルテンベルグ事務総長はロシアによるウクライナ東部の親露派への援助について非難しているように、件の停戦についてはまだまだ不透明というしかない状況です。
http://www.hurriyetdailynews.com/nato-set-to-gather-in-antalya-with-russia-and-jihadist-threat-top-on-the-agenda.aspx?pageID=238&nID=82265&NewsCatID=359


さて、今回は、バルト三国に対しHybrid Warfareが行われる可能性についてです。


私はずっと、ロシアがこれを行う可能性はゼロに近いと認識していました。

今でも、その可能性はかなり低いと思っています。

しかし、今現在のNATO内、特にその中の主要メンバーである西欧諸国が予想以上に弱体化している(具体的にどの程度弱体化してるかはまだ見ている最中ですが)印象を受け、この認識は若干変わってきました。


ご存知のようにHybrid Warfareは、ロシア本国は「一切関与していない」と100%シラを切る戦争です。

ストルテンベルグ事務総長は、Hybrid WarfareがNATO加盟国に対し行われた場合でもワシントン条約第5条に定められた集団的防衛行動を発動すると言明しています。

ただしそれは、あくまでもNATO加盟国内で行われている行為について公式に「Hybrid Warfare」だと認めた場合です。

これはつまり、防衛行動に消極的な加盟国は、「プーチンが侵略ではないと言っているのだから、違う」と主張する余地を与えてしまうのです。

Hybrid Warfareは「正規軍」であると明々白々に認識できる軍隊による侵略ではないことはウクライナの例でみられた通りです。


このレベルでNATO加盟国同士で議論が生じた場合、展開の早いHybrid Warfareを効果的に食い止めることができるでしょうか。

しかもHybrid Warfareは現地のロシア系住民を扇動する方法をとるため、これがいったん行われるとその加盟国内で長期にわたる民族紛争が起きてしまうのです。

NATO域内でそれが生じるだけでも、ロシアにとってはかなりの得点。


また、NATOが速やかに行動を起こした場合でも、加盟国によっては戦争に参加しない国も出てくるかもしれません。

1999年のNATOによるユーゴ空爆ではギリシアは戦争に参加しませんでした。

それがNATO内で軍の規模及びその地政学的位置的に重要でない国なら良いのですが、そうでない場合NATO軍は困難な事態に直面することになるかもしれません。

NATOは米軍に頼る割合が大きいですが、後者の問題はいかんともしがたいものになるかもしれません。


このような認識を新たに持つことになり、

以前のエントリでバルト三国はもうさほど関心を払わないと書きましたが、それを改め

それ相応の関心を持って観察し、書いていきたいと思います。


今日はこんなところでしょうか。

それでは、Na shledanou!

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管理人への執筆依頼などはこちらの連絡先でお受けいたしております。 http://seeuro.com/?page_id=10


西側の旧ソ連圏いじり、誘導出血?瀉血?

sabun.jpg

Dobry vecer!

エリシュカです。


今回は、NATOが東方拡大に転じて以降の西側の東方政策、特に旧ソ連圏いじりを再考してみたいと思います。


ちなみに、これはあくまでも現状からの推理であることを銘記しておきます。

これについてちゃんとしたことを言えるためには以下の二点、

・ロシアが隣接国にフローズンコンフリクト地域(沿ドニエストル、アブハジアなど分離地域)を作り・維持するコストと利益どちらが多いのか

・西側主要国の、東方拡大政策に関する資料の深い分析

をクリアしている必要があります。

それを踏まえたうえで、今回の主題についての私の推理をお読みください。


私は、ソ連崩壊以降の西側の旧ソ連圏いじりを単なる勢力拡大程度に思っていました。

ロシアに直接接する国々であるため当然NATO・EU入りはバルト三国のような特殊例を除けば考えられず、それは単なる(ミアシャイマーの用語を借りれば)バックパッシングであり、牽制であると思っていました。

しかし、今回のウクライナの戦争について見ているうちに、ある疑念が湧いてきました。


これは西側のロシアに対する誘導出血(bait and bleed)あるいは瀉血(bloodletting)戦略(これもミアシャイマーの用語を借ります)ではないかということです。


この事例は特殊で、この二つのどちらかだと判断するのは難しいものがあります。

ロシアの隣に親西側・反露政権を作るという段階までは前者に見えます。

しかし当事者(この場合ロシア)が勝手に戦争を始めるという面では後者の範疇に入ると思われます。


ロシアの旧ソ連圏を国防圏と考えるポリシーでは隣に親西側・反露政権ができた場合、地政学的に危険な状況になったと見なし軍事行動を自ら起こす。

西側としては旧ソ連圏諸国をオセロゲームのように親西にするだけでロシアの体力を奪えるということになります。

ロシアは他国を攻撃することでそのたびに巨大なヒルを吸い付かせることになります。

さらに副次的な効果としてこうしたことを繰り返せばロシアは無法な国家であるという印象を世界に与えることができます。


もちろん、この推理は先に述べたようにロシアがフローズンコンフリクト地域を隣国に作ることのコストが利益よりも大きい場合にしか成立しません。

またこれを西側が意図的にやっているのかについては今までの東方分析に関する深い資料分析が必要です。


ともあれ、この観点から西側の旧ソ連圏いじりを見ることも有益ではないかと思います。

またウクライナの今後の行く末を考えることにもある程度役に立つでしょう。

先日パトルシェフが今回のウクライナの件はロシアを解体するために仕組んだ米国の陰謀だと非難していましたが、

この文脈で見るとあながち見当はずれではないかとも思われます。


ちなみに今回のミンスク合意の件ですが、今のところ私はノーコメントです。

最低でも一週間は事態の推移を見守る必要があります。

90年代のボスニア内戦では停戦合意は主に自軍の戦力を整え強化するための時間稼ぎにすぎず、

最終的にデイトン合意に至ったのは軍事的に決着が着いてからでした。



今日はこんなところでしょうか。

それでは、Na shledanou!

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Author:belaoluja
こちらは南東欧戦略環境分析局blog http://crnogorac.blog117.fc2.com/ から萌え要素を抜いたものになります。

文責は同じ @crnaoluja (twitter) です。

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